換気扇の汚れが気になっていても、「ファンの取り外し方がわからない」「賃貸住宅でどこまで分解してよいのか不安」と感じ、掃除に踏み切れない方は少なくありません。換気扇は、設置場所によって取り外し方が異なり、無理に取り外そうとすると部品の破損や故障につながるおそれがあります。本記事では、賃貸住宅の換気扇を安全に取り外す手順や場所別の掃除方法を解説します。【目次】賃貸住宅の換気扇を安全に取り外すための事前準備換気扇を掃除するときは、事前準備が大切です。いきなり外そうとすると、感電や転倒、部品の紛失につながるおそれがあります。まず、作業中にファンが突然回らないよう、換気扇の電源プラグを抜いてください。電源プラグが見当たらない場合は、該当するブレーカーを落としてから作業を始めましょう。特にキッチンや浴室の換気扇は高所での作業になるため、脚立や踏み台を安定した場所に置き、無理のない姿勢で作業できるスペースを確保しておくことも重要です。また、ファンを取り外す際に、油汚れやほこりが落ちてくることがあります。コンロや床が汚れないよう、作業場所の下には新聞紙やビニールシートなどを敷いて養生しておきましょう。服に油汚れが付くこともあるので、汚れてもかまわない服装で作業すると安心です。さらに、素手で作業するとケガをする可能性があります。作業時にはゴム手袋を着用し、必要に応じてマスクや保護メガネも用意しておくとよいでしょう。換気扇は、カバー・フィルター・ファン・ネジなど複数の部品で構成されています。外しているうちに取り付け位置がわからなくなることがあるため、分解前にスマートフォンで写真を撮っておきましょう。また、外したネジや小さなパーツはトレーなどにまとめておくと紛失のリスクを抑えられます。場所・種類別で解説!換気扇の取り外し方と掃除方法ここからは、キッチン、お風呂・トイレ、居室に分けて、換気扇の取り外し方と掃除方法、作業時の注意点を解説します。【キッチン】換気扇の取り外し方と掃除方法キッチンの換気扇は、おもに「プロペラファン」と「シロッコファン」の2種類に分けられます。プロペラファンは、扇風機の羽根のような形をしており、壁に取り付けて直接屋外へ排気する換気扇です。一方、シロッコファンは、筒状の部品に細長い羽根が並んだ形状をしています。遠心力で空気を送り出す仕組みのため、長いダクトや曲がった配管にも対応でき、壁に面していない場所でも設置できます。また、運転音が比較的静かな点も特徴です。多くの賃貸住宅では、これらのファンを覆うカバーが取り付けられており、ファンとカバーを含めた設備全体を「レンジフード」と呼ぶことがあります。換気扇を取り外す手順はそれぞれ異なります。自宅の換気扇の種類を確認し、適切な手順で作業しましょう。プロペラファンの取り外し方まずは、換気扇にフィルターやカバー(フード)が付いている場合には、先にそれらを外します。入居時に渡された説明書などがあれば、見ながら作業すると安心です。カバーが外れたら、プロペラファンの羽根が動かないよう片手で押さえ、中央にあるネジ(スピンナー)を回して緩めます。ネジは左ネジが採用されていることが多く、一般的なネジとは逆に、時計回りに回すと緩みます。無理に反対方向へ回すとネジを傷めるおそれがあるため、回す向きを確認しながら作業しましょう。ネジが外れたら、羽根を両手で持ち、手前に引き出します。斜めに引っ張ると外しにくく、部品に負担がかかるため、羽根の向きを保ちながらゆっくり取り外しましょう。シロッコファンの取り外し方シロッコファンの場合は、必ずファンを覆うカバーやフィルターが付いています。まずはカバーやフィルターを取り外しましょう。整流板が付いているタイプの場合は手前の固定金具を外し、整流板を両手で支えながらゆっくり下げます。その後、整流板の位置を奥側のフックに合わせるように持ち上げ、手前に向かって取り外します。次に、ファンの手前についている輪状のカバー部品(ネジで留めてあることが多い)を取り外します。ネジが緩まない場合は、回す向きがあっているか、汚れで固まっていないか等を確認してみましょう。カバーが外れたら、シロッコファン中央の固定ネジを回して緩めます。プロペラファンの場合と同様に、換気扇の固定ネジは、通常のネジとは逆に時計回りで緩むタイプが多いため、回す方向を確認しながら作業しましょう。ネジが緩んだら、ファンを両手で支えながら手前にゆっくりと引き抜きます。油汚れで滑りやすくなっていることがあるため、落とさないよう注意して取り外してください。なお、シロッコファンには、ワンタッチで外せるタイプ等、メーカーによってはさまざまな製品があります。構造が複雑なものもあるため、取り扱い説明書を確認したり、場合によってはメーカーに問い合わせて外し方を確認しましょう。【キッチン】換気扇の掃除方法キッチンの換気扇は、油汚れやほこりが付着しやすい場所です。フィルターやファンのべたつきが気になる場合は、浸け置きして汚れを浮かせてから洗うと落としやすくなります。まず、シンクや大きめの容器に50〜60度程度のお湯をためて中性洗剤を溶かし、そのなかにフィルターやファンを入れて20〜30分ほど浸け置きしましょう。その後、汚れが浮いてきたらスポンジややわらかいブラシでこすり洗いします。油汚れにはアルカリ性洗剤が効果的ですが、素材によってはアルミ部分が変色したり、塗装がはがれたりするおそれがあります。賃貸住宅の設備を傷めると原状回復費用(修繕費)の負担につながる可能性もあるため、まずは中性洗剤を使用するのが無難です。取扱説明書がある場合は、使用できる洗剤や掃除方法を事前に確認しておきましょう。【お風呂・トイレ】換気扇の取り外し方と掃除方法ここでは、浴室やトイレでよく見られる天井埋込型換気扇の取り外し方と掃除方法を解説します。【お風呂・トイレ】天井埋込型の取り外し方天井埋込型の換気扇を取り外すときは、まず換気扇カバーの端に指をかけ、ゆっくり下へ引き出します。ネジで固定されているタイプは、先にネジを外してからカバーを取り外しましょう。カバーと本体がバネでつながっている場合は、カバーを少し下げ、バネを手でつまんで縮めながら片側ずつ外してください。カバーを外したあと、内部のファンが取り外せるタイプであれば、固定部品を確認します。シロッコファンの場合は、ファン手前についている輪状の部品を外してから、ファンをゆっくり引き抜きます。プロペラファンの場合は、中央の固定部品を回して緩め、羽根をまっすぐ手前に引き出しましょう。ただし、浴室やトイレの換気扇には、カバーやファンを取り外せないタイプもあります。無理に外そうとすると壊れるおそれがあるため、取り外し方がわからない場合や少し動かしても外れない場合は無理に分解せず、手が届く範囲の掃除にとどめてください。また、浴槽の縁やふた、便座の上に乗って作業すると、足を滑らせて転倒したり、ふたや便座を破損させたりするおそれがあります。必ず安定した脚立や踏み台を用意し、足場を確保してから作業しましょう。【お風呂・トイレ】天井埋込型の掃除方法取り外したカバーやファンは、中性洗剤を使って洗います。浴室やトイレの換気扇にはほこりや湿気による汚れが付着しやすいため、やわらかいスポンジや布でやさしく洗い落としましょう。内部のファンが外れない場合は、無理に分解しないでください。掃除機やハンディモップでほこりを取り除き、手が届く範囲で水拭きします。汚れが落ちにくいときは、中性洗剤を水で薄めて布に含ませ、固く絞ってから拭き取りましょう。その後、洗剤が残らないように水拭きします。【居室】換気設備の取り外し方と掃除方法リビングや寝室などの居室には換気扇のほかに、24時間換気システムの給気口や排気口が設置されていることがあります。給気口や排気口にはほこりがたまりやすく、汚れを放置すると空気の通り道がふさがり、換気効率が低下します。定期的にカバーやフィルターを掃除し、空気が流れやすい状態を保ちましょう。多くの給気口や排気口は、カバーを回したり、手前に引いたりすることで取り外せます。カバーやフィルターを外したら、中性洗剤を使って水洗いしましょう。洗ったあとは水気を拭き取り、完全に乾かしてから元に戻します。本体内部は、掃除機や乾いた布を使ってほこりを取り除きましょう。ただし、取り外し方や水洗いできる部品は機種によって異なります。作業前に取扱説明書を確認しておくと安心です。賃貸住宅の24時間換気システムについて知りたい方は、次の記事も参考にしてください。賃貸住宅の24時間換気システムとは?種類やお手入れ方法、故障時の対応について解説換気扇掃除の注意点換気扇を掃除するときは、ケガを防ぐためにゴム手袋を着用しましょう。また、水洗いした部品は乾いた布で水分を拭き取り、完全に乾かしてから取り付けます。水気が残ったまま戻すと、漏電や錆び、カビの原因になるおそれがあります。一方で、ネジ(スピンナー)が固く、換気扇が外れないことも少なくありません。外れない原因と対処法は以下のとおりです。原因対処法ネジを回す向きが違う一般的なネジとは反対の方向に回すと緩むタイプもあります。本体表示や取扱説明書を確認し、無理のない範囲で通常のネジとは反対方向に回してみましょう。汚れが固着しているスピンナーの隙間やファンの周辺にこびりついた油汚れやほこりが原因で換気扇が外れないことがあります。この場合、先に汚れを布やブラシで軽く取り除いてから回すと、外しやすくなります。パーツが錆びている金属部分が錆びていると、部品が固着して外れにくくなります。無理に回すと破損するおそれがあるため、まずは取扱説明書を確認し、自分で対応が難しい場合は管理会社や賃貸オーナーに相談しましょう。いずれの場合も、力任せに引っ張ると部品の破損や換気扇本体の故障につながるおそれがあります。自分で取り外すのが難しい場合や内部まで掃除するのが不安な場合は、賃貸住宅管理会社(以下、管理会社)や賃貸オーナーに相談したうえで、専門業者へ依頼するのも一つの方法です。また、換気扇から異音がする、焦げたような臭いがするといった症状がある場合は故障や異常が起きている可能性があるので、すぐに管理会社や賃貸オーナーに相談してください。換気扇の故障や修理については、以下の記事でも詳しく解説しています。賃貸住宅の換気扇が故障したらどうする?修理の流れや費用、対処法を徹底解説!賃貸住宅の換気扇掃除は誰が行うべき?賃貸住宅に備え付けられている換気扇の日常的な手入れは、基本的に入居者が行います。賃貸住宅の入居者には、借りている部屋や設備を適切に使用・管理する「善管注意義務」があり、換気扇の掃除も日常管理の一部と考えられるためです。換気扇の掃除を怠るとほこりや油汚れがたまり、換気効率が低下します。さらに、汚れが原因で故障につながる可能性もあります。通常の使用による経年劣化や自然故障であれば、修理費用は賃貸オーナー側の負担となるのが一般的です。一方で、入居者が掃除を怠ったことで故障した場合は、原状回復費用(修繕費)の負担が発生することがあります。余計な費用負担を避けるためにも、換気扇は定期的に掃除しましょう。賃貸住宅の換気扇に関するよくある質問ここでは、賃貸住宅の換気扇に関してよくある質問にお答えします。換気扇の掃除頻度は?キッチンの換気扇は、調理のたびに油汚れやほこりが付着します。汚れをため込まないためにも、フィルターは月に1回程度掃除するとよいでしょう。揚げ物や炒め物をよくする家庭では汚れが付きやすいため、月に1回よりもこまめに掃除すると換気性能を保ちやすくなります。シロッコファンやプロペラファンなど内部の部品は、3〜4ヵ月に1回程度を目安に掃除しましょう。忙しくてこまめに掃除ができない場合でも、少なくとも年に1回は汚れを確認し、必要に応じて掃除しておくと安心です。浴室やトイレの換気扇は、半年に1回程度を目安にカバーやフィルターを掃除しましょう。賃貸住宅の換気扇掃除を自己判断で業者に頼んでもよい?賃貸住宅の換気扇掃除を業者に依頼したい場合は、事前に管理会社や賃貸オーナーへ相談するのが基本です。管理会社や賃貸オーナーに相談すれば、提携している業者を紹介してもらえることもあります。特に、内部まで分解する掃除や換気扇本体を取り外す作業は部品の破損や設備の不具合につながることもあるため、自分の判断で進めないようにしましょう。まとめ賃貸住宅の換気扇を掃除するときは、事前準備が大切です。作業前には電源プラグを抜くかブレーカーを落とし、安定した脚立や踏み台を用意するなど、安全に作業できる環境を整えましょう。賃貸住宅の設備は賃貸オーナーの所有物ですが、入居者には日常的に適切に使用・管理する義務があります。換気扇を定期的に手入れしておけば、換気性能を保ちやすくなり、油汚れやほこりによる不具合の防止にもつながります。換気扇を自分で取り外すのが難しい場合は無理に作業を進めず、まずは管理会社や賃貸オーナーに相談しましょう。v