暑さの厳しい夏場は、賃貸住宅において「入居中トラブル」が増加する傾向にあります。この記事では、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(日管協)が賃貸住宅入居者を対象に実施した「入居中トラブル」に関するアンケートの結果をもとに、夏に発生しやすい入居中のトラブルや対処法について解説します。【目次】入居中トラブルが起きやすい時期日管協が、2024年4月から2025年3月までの1年間に発生した賃貸住宅の入居中トラブルに関する問い合わせ件数を集計したところ、特に発生率が高いのは7~9月であることがわかりました。対象期間内でトラブル関連の問い合わせ件数が最も多い8月を100%とすると、最も件数の少ない12月は57.6%となり、約2倍の差が生じています。7月(92.9%)や9月(94.1%)も相対的に問い合わせ件数が多く、夏場は賃貸住宅における入居中のトラブルが発生しやすい時期といえるでしょう。その背景には、次のような夏特有の環境要因があります。入居中トラブルの原因TOP5同調査では、賃貸住宅の入居中トラブルの発生件数をもとに年間と季節ごとのランキングを作成しています。最多の入居中トラブルは「害虫・害獣の発生」で、どちらのランキングでも1位になりました。一方、年間と季節ごとのランキングを比較して、夏に順位が上昇するトラブルもあります。「不快なにおいの発生」は193件で、夏のランキングは年間より3ランク上昇の2位、「エアコンの故障・不調」は152件で、夏のランキングは年間より4ランク上昇の4位となっています。つまり、これらのトラブルは夏場に多く発生すると考えられるでしょう。このほかに、「水回りのトラブル」や「騒音の発生」も季節に関係なく、年間を通して多く発生しています。害虫・害獣の発生ハエやゴキブリなどの害虫は、高温多湿な環境を好む傾向にあります。気温は7~8月、湿度は7月にピークを迎えるため、夏場は害虫トラブルが発生しやすくなります。さらに、夏は気温と湿度が高く、ネズミをはじめとする害獣も繁殖しやすい時期ですこれらの害虫・害獣を放置すると、不快なだけでなく衛生環境の悪化にもつながります。不快なにおいの発生夏の高温多湿な環境では、カビの発生や生ごみの腐敗などが起こりやすく、不快なにおいが発生することがあります。水回りのトラブル夏は湿気が多く、浴室や洗面台などの水回りにカビが繁殖しやすくなります。また、暑さで排水管内の封水(封水トラップの水)が蒸発し、下水のにおいが逆流してくることもあります。エアコンの故障・不調夏はエアコンの使用時間が長く、部品の劣化や故障が起こりやすくなります。このほかに、直射日光にさらされて起こる室外機の冷却効果の低下、ドレンホースの詰まりによる水漏れ、結露によるカビの発生とそれにともなう異臭もよくあるトラブルです。騒音の発生夏は窓を開けて過ごすことが多く、外部の騒音が室内に入りやすくなります。また、エアコンの室外機から発生する異音が、騒音トラブルの原因となることも少なくありません。入居中トラブルが発生した場合の対処法入居中トラブルが発生した際に、多くの方がまず行なうのは管理会社やオーナーへの相談です。実際に、日管協の調査でも「管理会社・管理人・オーナーに相談や対応をしてもらった」が42.5%と最も高い割合となりました。まずは管理会社やオーナーなどに相談することで、スムーズな解決が期待できます。入居中トラブルを相談する際は、以下のポイントを押さえることで、より円滑に対応を進められます。賃貸借契約書を確認する相談する前に賃貸借契約書などに目を通し、入居者自身で対応する内容か、管理会社やオーナーが対応する内容なのかを確認しましょう。併せて、修繕費用の負担区分なども確認しておくと、その後のやりとりがスムーズになります。状況を正確に伝える相談する際は、トラブルの状況を具体的かつ正確に伝えることが重要です。トラブルについて、いつ・どこで・どのような状況になっているのかを詳細に記録しておきましょう。例えば、「○月○日の午後○時頃、キッチンの蛇口から水漏れしているのを発見しました」のように、日時と場所、具体的な状況を伝えることで、相手も迅速に状況を把握できます。加えて、現場の写真や動画があると、言葉だけでは伝わりにくい状況もより正確に伝わります。状況を記録しておくことは、のちのトラブル防止にもつながるでしょう。入居中トラブルの対応別満足度日管協が入居中トラブルの対応満足度を調査したところ、「非常に満足している」と「やや満足している」と回答した方の割合は、全体で64.3%となりました。対応方法別に見ると、入居中トラブルの対応方法で最も割合の高かった「管理会社・管理人・オーナーに対応してもらった」を選んだ方の満足度は「非常に満足している」と「やや満足している」を合わせて71.1%にのぼります。これは、全体より6.8%、自分・同居の家族で対処した場合と比べて12.4%も高い数値です。管理会社やオーナーに相談した方の満足度が高かった理由には、以下の要素が関係していると考えられます。豊富な専門知識と経験管理会社の多くは、建物の構造や設備に関する専門知識を豊富に持っています。そのため、トラブルの原因を素早く特定し、適切な修理方法を見つけ、専門業者をすぐに手配できるでしょう。入居者自身では判断が難しい問題も、専門家の知見により迅速かつ正確な対応が期待できます。迅速な対応管理会社やオーナーの多くは、トラブル対応の体制を整えています。これにより、トラブル発生時にも迅速に対応してもらうことができ、入居者の不便や不安が最小限に抑えられます。まとめ暑い夏の時期には、賃貸住宅で「不快なにおいの発生」や「エアコンの故障・不調」といった入居中トラブルが増加します。また「害虫・害獣の発生」「水回りのトラブル」「騒音の発生」は、季節を問わず発生しやすい問題です。トラブルが発生した際の対応として最も多いのは、管理会社やオーナーに相談することです。自分で解決しようとするよりも迅速かつ確実に問題が解決するため、高い満足度を獲得しています。トラブルを相談する際のポイントとしては、賃貸借契約書などを確認すること、トラブルがいつ・どこで・どのような状況かを具体的に記録することが挙げられます。管理会社やオーナーにトラブルを相談した方の多くが「満足している」と回答した理由には、建物の構造や設備に関する専門知識が豊富なこと、迅速な対応が可能なことが挙げられます。入居者は快適な生活を送るためにも、困ったことがあれば早めに管理会社やオーナーへ相談するとよいでしょう。v