動画配信サービスでの映画鑑賞やオンラインゲーム、そして在宅ワークやオンライン授業などの普及により、自宅のインターネット環境は「電気・ガス・水道」に次ぐ第4のインフラといえるほど重要になりました。これから賃貸住宅を探す方のなかには、「通信速度が速い光ファイバー回線を使いたい」と考えている方も多いでしょう。しかし、賃貸住宅の情報を検索していると「光ファイバー完備」や「光ファイバー対応」、「インターネット無料」など似たような言葉が並び、結局何が違うのか、どの賃貸住宅ならすぐに快適なインターネットが使えるのか、迷ってしまうことはありませんか?実は、これらの言葉は似て非なるものであり、選び方を間違えると「入居したのにすぐにインターネットが使えない」「期待していた通信速度が出ない」といった事態になりかねません。この記事では、光ファイバー回線の基礎知識から、「光ファイバー完備」と「光ファイバー対応」の決定的な違い、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説します。また、インターネット環境を重視する方が賃貸住宅選びで失敗しないためのチェックポイントや、光ファイバー回線未導入の賃貸住宅における対処法についても網羅しているので、ぜひ快適な住まい選びの参考にしてください。【目次】光ファイバーとは?「光ファイバー」とは、ガラスやプラスチックでできた非常に細い繊維(ファイバー)のことです。この繊維の中に光の信号を通すことで、離れた場所でもデータを送受信できる仕組みを「光ファイバー回線(光回線)」と呼びます。最大の特徴は、その圧倒的な「通信速度」と「安定性」です。従来の電話回線などは電気信号を使ってデータを送っていたため、距離が長くなると信号が弱くなったり、周囲の電磁波ノイズの影響を受けたりして通信が不安定になることがありました。一方、光ファイバー回線は光の点滅でデータを送るため、長距離でもデータが劣化しにくく、外部からのノイズの影響もほとんど受けません。そのため、大容量のデータを一瞬でやりとりすることが可能です。賃貸住宅においても、特に集合住宅では、一度に多くの人がインターネットを利用しても回線がパンクしないよう、この光ファイバー回線がインフラとして欠かせない存在となっています。ADSL回線やモバイル回線、ケーブルテレビ回線との違いインターネットに接続する方法は光ファイバー回線以外にもいくつかありますが、性能面では大きな違いがあります。それぞれの特徴と比較してみましょう。まず、一昔前まで主流だった「ADSL回線」です。これは既存のアナログ電話回線を利用した通信方式です。電話線を使うため導入コストは低いものの、通信速度は下り最大50Mbps程度(※1)と遅く、基地局(電話局)から自宅までの距離が遠くなるほど速度が低下し、ノイズにも弱いという弱点がありました。現在では光ファイバー回線の普及にともない、ADSL回線のサービスは順次終了しています。次に、現在も多くの人が利用している「モバイル回線」です。スマートフォンやモバイルWi-Fiルーター、ホームルーター(置くだけWi-Fi)などがこれに該当します。無線(電波)を使って通信するため、工事不要ですぐに使えたり、持ち運びができたりする手軽さが最大のメリットです。しかし、物理的なケーブルでつながっていないため、利用する場所(建物の奥や地下など)や時間帯(夜間の混雑時)によって通信が不安定になりやすく、光ファイバー回線ほどの安定した高速通信は期待できません。そして、「ケーブルテレビ(CATV)回線」です。これはテレビ放送用の同軸ケーブルを利用してインターネット接続を行なう通信方式です。テレビとインターネットをセットで契約できる利便性はありますが、同軸ケーブルは光ファイバーに比べてノイズを拾いやすく、また1つの回線をエリア内の複数世帯で分岐して共有する仕組みのため、利用者が多い時間帯には速度が著しく低下することがあります(現在はケーブルテレビでも光ファイバー回線方式を採用している場合もあります)。これらに対し、光ファイバー回線は専用の光ケーブルを使って建物まで直接接続されます。通信速度は一般的に最大1Gbps(1,000Mbps)~10Gbps(10,000Mbps)(※2)と桁違いに速く、動画やゲームなどの大容量データもストレスなく扱えます。まさに現代のインターネット生活において、最も快適かつ信頼性の高い選択肢といえるでしょう。※1 参照:「フレッツ・ADSL」のスループット(ネットワーク通信速度)はどのくらいですか。 | よくあるご質問|フレッツ光公式|NTT西日本※2 参照:【公式】NTT東日本|フレッツ光|個人のお客さま光ファイバー回線を利用できる賃貸住宅の種類賃貸住宅情報を見ていると、「光ファイバー完備」と「光ファイバー対応」という2つの表記があることに気付くはずです。どちらも光ファイバー回線が使えることには変わりありませんが、入居者がやるべきことや契約形態が大きく異なります。それぞれの特徴を正しく理解しておかないと、入居当日にインターネットが使えなくて困るといった事態になりかねません。光ファイバー完備の賃貸住宅「光ファイバー完備(インターネット完備)」の賃貸住宅とは、建物の共用部分だけでなく、各部屋の室内まで光ファイバー回線の設備がすでに引き込まれており、さらにプロバイダとの契約も済んでいる状態の賃貸住宅を指します。最大のメリットは、入居してすぐにインターネットが使える点です。面倒な回線工事の立ち会いや、プロバイダとの契約手続きは一切不要です。壁にあるLANポートにケーブルを挿すか、備え付けのWi-Fiルーターに接続するだけで、その日からインターネット環境が整います。また、通信費(回線使用料やプロバイダ料金)が家賃や管理費に含まれているケースが多いのも魅力です。毎月の固定費を抑えたい方にとっては非常に経済的な選択肢といえます。一方でデメリットもあります。多くの場合、賃貸オーナーや賃貸住宅管理会社(以下、管理会社)が一括で契約している特定のプロバイダを利用することになるため、入居者が自分でプロバイダを選ぶことはできません。また、その建物全体の入居者が一斉にインターネットを使うと回線が混雑し、通信速度が遅くなる可能性があります。オンラインゲームや高画質の動画配信を頻繁に利用するヘビーユーザーにとっては、速度や安定性に不満を感じる場合があるかもしれません。光ファイバー対応の賃貸住宅「光ファイバー対応(インターネット対応)」の賃貸住宅とは、建物の共用部分(MDF室など)までは光ファイバー回線が引き込まれているものの、そこから各部屋までの配線工事や、プロバイダとの契約はまだ行なわれていない状態の賃貸住宅を指します。賃貸住宅の情報に単に「光ファイバー」とだけ書かれている場合は、この「光ファイバー対応」賃貸住宅である可能性が高いです。このタイプのメリットは、入居者が自分の好きな回線事業者やプロバイダを選べる自由度の高さです。「通信速度が速いと評判のプロバイダを使いたい」「スマートフォンとのセット割引があるプロバイダを選びたい」といったニーズに合わせて契約できます。自分専用の契約となるため、「光ファイバー完備」の賃貸住宅に比べて通信品質をコントロールしやすく、高速通信を求める方に適しています。デメリットは、自分でプロバイダ契約手続きや工事の手配を行なう必要がある点です。入居後に開通工事(部屋までの引き込み作業)が必要になるケースが多く、工事を行なうために、まず賃貸オーナーや管理会社に連絡する必要があります。また、申し込みから開通まで2週間~1ヵ月程度待たされることもあります。さらに、工事費用や毎月の通信費は原則として入居者の自己負担です(キャンペーンなどで工事費が実質無料になることもあります)。加えて、建物内の配線方式にも注意が必要です。共用部分までは光ファイバー回線が引き込まれていても、そこから各部屋までは電話線を使う「VDSL方式」を採用している賃貸住宅では、最大速度が100Mbps程度(※3)に制限されてしまうことがあります。※3 参照:「フレッツ 光ネクスト」のスペックの違い|NTT西日本公式光ファイバー完備・対応の賃貸住宅を選ぶ際に注目したいポイント「光ファイバー完備」なら手軽さ、「光ファイバー対応」なら自由度という違いがわかりました。では、実際に賃貸住宅を選ぶ際にはどのような点に注目すれば良いのでしょうか。後悔しないための確認ポイントを解説します。【光ファイバー完備の場合】プロバイダの種類や通信速度、安定性「光ファイバー完備」の賃貸住宅を検討する場合、最も注目したいポイントは「通信速度、安定性」です。内見時や問い合わせの段階で、賃貸オーナーや管理会社に以下の点を確認してみましょう。どこの回線事業者・プロバイダが入っているかNTT系の光コラボなのか、あるいはケーブルテレビ系なのか、などを聞いてみましょう。事業者名がわかれば、インターネット上の口コミなどで評判を調べることができます。通信速度の実測値や方式賃貸住宅情報で「インターネット高速通信」などと謳っていても、建物内の配線方式が「光配線方式」「LAN配線方式」「VDSL方式」のどれなのかによって、実際の速度は変わります。可能であれば、内見時に不動産担当者に許可を得たうえで、スマートフォンでWi-Fiに接続してみたり、不動産担当者に「ほかの入居者からインターネットが遅いという苦情は出ていないか」と率直に聞いてみたりするのも一つの手です。特に、在宅ワークでWeb会議を頻繁に行なう方や、FPS(一人称視点のシューティングゲーム)などのオンラインゲームをする方は、光ファイバー完備の賃貸住宅における回線品質が自分の用途に耐えうるか、慎重に見極める必要があります。【光ファイバー対応の場合】光ファイバー回線工事のスケジュール「光ファイバー対応」の賃貸住宅を検討する場合は、「いつから使えるようになるか」というスケジュール管理がポイントです。先述のように、光ファイバー回線の申し込みから開通までは、通常期で2週間~1ヵ月程度かかります。しかし、引越しシーズンである3月~4月頃は申し込みが殺到するため、開通までに1ヵ月~2ヵ月以上待たされることも珍しくありません。引越し当日からインターネットを使いたい場合は、賃貸住宅の契約を結ぶと同時に(あるいは入居する賃貸住宅を決めた段階で早めに)回線事業者やプロバイダに対して、光ファイバー回線の申し込みを行なう必要があります。また、工事の内容についても確認が必要です。「無派遣工事(自身で接続設定を行なうのみ)」で済むのか、「派遣工事(作業員が来て部屋の中で作業する)」が必要なのかによって、立ち会いの要否が変わります。※入居前に派遣工事が必要な場合は、オーナーや管理会社に必ず許可を取るようにして下さい。賃貸オーナーや管理会社に、前の入居者が回線を撤去したのか、それとも設備を残していったのかを確認しておくと、工事の目安が立てやすくなります。光ファイバー回線が導入されていない賃貸住宅への対処法気に入った賃貸住宅が「光ファイバー完備」でも「光ファイバー対応」でもなかった場合、あるいは、賃貸住宅情報にインターネット環境についての記載がない場合、光ファイバー回線を使うことは諦めなければならないのでしょうか?ここでは、光ファイバー回線未導入の賃貸住宅で、インターネット環境を整えるための対処法を紹介します。賃貸オーナーや賃貸住宅管理会社に光ファイバー回線工事の可否を確認する賃貸住宅情報に光ファイバー回線についての記載がなくても、諦めるのはまだ早いです。まずは、不動産会社を通じて賃貸オーナーや管理会社に「光ファイバー回線の個別導入工事をしても良いか」を確認してみましょう。光ファイバー回線を利用するには、近くの電柱から建物の外壁に光ファイバーのケーブルを固定し、エアコンダクトや電話線の配管を通して室内に引き込む工事が必要です。場合によっては壁に小さな穴を開けたり、ビス止めをしたりする可能性があるため、建物所有者の許可が絶対に必要です。工事の相談をする際は、「工事費用は自分で負担すること」「退去時には回線を撤去すること」「建物の美観を損なわないよう配慮すること」「取付位置の指示に従うこと」などを丁寧に伝えると、許可をもらえる確率が高まります。光ファイバー回線の契約プランは、戸建てタイプのプラン(ファミリータイプ)を選ぶことになりますが、許可さえ下りれば、自分専用の光ファイバー回線を引くことができ、集合住宅タイプのプランよりも高速で安定した通信環境を手に入れられる可能性があります。なお、同じ建物に住んでいる複数の入居者が「光ファイバー回線を使いたい」と希望すれば、戸建てタイプのプランより工事費用や月額料金が抑えられる、集合住宅タイプのプランを導入できる可能性もあるかもしれません。工事不要のWi-Fiなども検討する賃貸オーナーや管理会社から工事の許可が下りなかった場合や、数ヵ月~1年程度の短期入居で工事をするのがもったいない場合は、下記のような工事不要のインターネットサービスを検討しましょう。ホームルーター(置くだけWi-Fi)専用の端末のケーブルをコンセントに挿すだけで、すぐにWi-Fiが使えるようになる置き型のWi-Fiルーターです。モバイル回線(5Gや4G)を利用するため、光ファイバー回線ほどの速度は出ませんが、配線工事が不要で、引越しの際も端末を持って移動するだけで済む手軽さが魅力です。モバイルWi-Fiルーター小型の端末で持ち運べるタイプのWi-Fiルーターです。自宅だけでなく外出先やカフェでもインターネットを使いたい方、出張や旅行が多い方に適しています。ただし、これらのサービスは「3日間で〇〇GB以上使うと速度制限がかかる」といった制限がある場合や、電波状況によって速度が大きく変動する点に注意が必要です。高画質動画の視聴やWebサイトの閲覧程度なら十分対応できますが、反応速度(Ping値)が重要になる対戦型オンラインゲームなどには不向きな場合があります。ご自身の利用用途と頻度に合わせて選びましょう。まとめ現代の生活において、インターネット環境は生活の質を左右する重要な要素です。賃貸住宅における光ファイバー回線は、通信速度・安定性・低遅延の面で最も優れた選択肢といえます。賃貸住宅選びの際は、「光ファイバー完備」と「光ファイバー対応」の違いを正しく理解しておくことが大切です。「光ファイバー完備」の賃貸住宅は、工事不要で入居後すぐにインターネットが使える手軽さが魅力ですが、プロバイダは選べません。一方、「光ファイバー対応」の賃貸住宅は、自分でプロバイダ契約や工事の手配を行なう手間と費用がかかりますが、ご自身の好きなプロバイダを選んで高速通信環境を構築できる自由度があります。ご自身が、インターネット料金を節約したいのか、それとも多少コストがかかっても高速で安定した光ファイバー回線が欲しいのかなど、ライフスタイルやインターネットの利用目的を明確にしたうえで、最適な賃貸住宅を選びましょう。v