賃貸住宅で使用しているエアコンが古く、新しいものに交換したいと考える入居者の方もいるでしょう。しかし、賃貸住宅に備え付けられているエアコンは、入居者が自由に交換できるとは限りません。賃貸住宅の古いエアコンの交換を希望する場合、まずは賃貸借契約書の内容を確認することが大切です。本記事では、賃貸住宅の古いエアコンについて、交換できるケースや耐用年数の目安、すぐに交換できないときの対処法を解説します。賃貸住宅の古いエアコンの交換には契約内容の確認が必要賃貸住宅に備え付けられているエアコンを交換したい場合は、まず賃貸借契約におけるエアコンの取り扱いを確認しましょう。エアコンが賃貸オーナー側の「設備」と前の入居者が残した「残置物」のどちらに区分されているのかによって、修理や交換の対応が変わるためです。エアコンの区分は、賃貸借契約書で確認しましょう。賃貸借契約書でエアコンが設備とされている場合、不具合や故障等があり、その原因が入居者の故意・過失等によるものでなければ、賃貸住宅管理会社(以下、管理会社)や賃貸オーナーに修理・交換の対応をしてもらえる場合があります。一方で、エアコンが古くても問題なく使える状態であれば、賃貸オーナー側に交換する義務はありません。「見た目が古い」「最新機種より電気代がかかる」といった理由だけでは、交換に応じてもらえない可能性が高くなります。賃貸借契約書の内容がわかりにくい場合や、エアコンが設備か残置物かわからない場合は自己判断で対応するのではなく、管理会社や賃貸オーナーに問い合わせましょう。なお、賃貸借契約書にはエアコンのクリーニング費用の負担区分についても定められていることがあるので、併せて確認しておくと安心です。エアコンの耐用年数とは?賃貸住宅で交換を相談したいときの目安賃貸住宅で使用しているエアコンが古い場合、管理会社や賃貸オーナーにどのタイミングで交換を相談すれば良いのかと悩む方も多いでしょう。ここでは、エアコンの一般的な耐用年数を確認し、賃貸住宅のエアコン交換を相談するときの目安について解説します。設置から10年が経過しているとき 家庭用エアコンの法定耐用年数は6年ですが、これは会計・税務上の基準でしかなく、6年を過ぎたら故障する、交換が必要になるという意味ではありません。実際のエアコンの寿命は使用環境や使い方にもよりますが、設置から10年程度が経過すると故障しやすくなるといわれています。また、設置から10年以上経過しているエアコンの場合、メーカーによっては修理用部品の保有期間を過ぎていることがあります。そのため、賃貸住宅のエアコンが設置から10年以上経過しているかどうかが、管理会社や賃貸オーナーに交換を相談する一つの目安となるでしょう。故障や不具合が発生したとき次のような症状が見られる場合は早めに管理会社や賃貸オーナーに連絡しましょう。運転中に異音がする本体や室内機から水漏れが発生している使用中に焦げたような異臭がする冷暖房の効きが明らかに弱い特に、焦げたような臭いがする、水漏れがひどいといった場合は、そのまま使い続けると火災や漏電などの事故につながる恐れがあるため、迅速な対応が必要です。エアコンが故障した際の対応を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。賃貸住宅の備え付けエアコンが故障したら?入居者・オーナーの責任分担と正しい対応賃貸住宅で古いエアコンを使い続けるデメリット 賃貸住宅にエアコンが備え付けられていると、入居後すぐに使えるメリットがあります。エアコンの購入費用もかからず、賃貸住宅へ引っ越す際の初期費用を節約できる点もメリットです。しかし、古いエアコンを使い続ける場合には、いくつかの注意点もあります。ここでは代表的なリスクを解説します。火災の原因になる恐れがある 古いエアコンは、内部にホコリや汚れが蓄積していたり、部品が経年劣化していたりする場合があります。そのまま使い続けると、部品や電気系統の不具合によって発火につながる恐れがある点に注意が必要です。エアコン本体だけでなく、電源コードや電源プラグにも注意しましょう。電源コードが傷んで内部の銅線が露出すると、過大な電気が流れて発火につながりかねません。また、電源プラグが変形し、コンセントとの間に緩みが生じるとそこにホコリが溜まり、火災につながることがあります。使用中に焦げたような異臭がする、以前はしなかった異音が続いているといった場合は使用を中止し、管理会社や賃貸オーナーに早めに連絡しましょう。電気代が高くなる 古いエアコンは、最新モデルと比較して省エネ性能が劣ることが多く、同じ使い方でも電気代が高くなる傾向にあります。家賃が安い賃貸住宅でも、エアコンの効きが悪く電気代がかさむと、住居費全体の負担が想定より大きくなることがあります。賃貸住宅のエアコンが古い場合、省エネ性能に優れた最新機種よりもランニングコストがかかる点は押さえておきましょう。衛生面でのリスクがある 古いエアコンは、長年の使用によって内部にホコリやカビが溜まりやすくなります。そのままの状態で使用し続けると、カビのような臭いがしたり、ホコリやカビが部屋中に広がったりする場合もあるでしょう。ホコリやカビを吸い込むと、アレルギー症状やぜんそくなど健康面に影響が出る恐れがあるため、注意が必要です。また、内部にホコリが蓄積すると熱交換効率が低下し、冷暖房能力が落ちます。結果、設定温度に達するまでに時間がかかり、電気代が高くなる原因となります。エアコンのフィルターを掃除しても臭いなどが気になる場合は、管理会社や賃貸オーナーに一度相談してみましょう。賃貸住宅で古いエアコンの交換を依頼する際の流れ賃貸住宅の古いエアコンを交換してもらいたい場合は、まず賃貸借契約書でエアコンの取り扱いが「設備」か「残置物」のどちらになっているかを確認しましょう。契約内容によっては「入居者に交換義務がある」と定められているケースもあるため、あわせて確認が必要です。エアコンが賃貸オーナーの「設備」に該当し、入居者に交換義務がない場合は、管理会社または賃貸オーナーに交換依頼の連絡をします。連絡する際は、エアコンに故障や不具合があるのか、もしくは単に古くなったことを理由に取り換えてほしいのかによって、伝える内容が異なります。故障や不具合がない場合は交換を断られたり、自費での交換を勧められたりするケースもあるため、留意が必要です。故障・不具合の場合には、以下のような状況をできるだけ具体的に伝えることが大切です。いつから不具合が出ているかどのような症状があるか(冷えない、異音がする、水漏れしているなど)故障のきっかけや原因に心当たりがあるかエアコンのメーカー名・型番・製造年 メーカー名や型番、製造年は、本体に貼られているシールで確認できます。また、水漏れや異音などは写真や動画で記録しておくと、管理会社や賃貸オーナー、修理業者に状況を伝えやすくなり、スムーズな対応につながります。エアコンの交換が決まった場合、業者の訪問に際して在宅を求められることがあるため、管理会社や賃貸オーナーと連絡を取りながら、早めに日程を調整しましょう。「いつ頃交換できるのか」の見通しを確認しておくと、その間の暑さ・寒さ対策を立てやすくなります。賃貸住宅の古いエアコンで交換が難しいときの対処法賃貸住宅のエアコンに不具合が生じても、すぐに交換してもらえるとは限りません。管理会社や賃貸オーナーの確認に時間がかかったり、業者との日程調整が必要になったりするため、対応までに時間を要する場合もあります。交換までの間は、状況に応じてできる対処を取り入れることが大切です。以下の記事では、エアコンの異臭への応急処置を漫画で紹介していますので、あわせて参考にしてください。エアコンの悪臭退散!業者を呼ぶ前に試せる応急処置とは?エアコンクリーニングを行なう エアコンの効きが悪い、使用中に異臭がするといった場合、エアコンクリーニングで改善できる可能性があります。内部に蓄積したホコリやカビを自分で取り除くのは難しいため、必要に応じて専門業者によるエアコンクリーニングの依頼を検討しましょう。ただし、賃貸住宅のエアコンが設備の場合、勝手にエアコンクリーニングを依頼するのはNGです。エアコンクリーニングの過程で破損などが起きた場合、入居者が修理費用を全額負担することになりかねません。ケースによっては賃貸オーナー負担でエアコンクリーニングを実施してもらえることもあるため、まずは賃貸借契約書を確認したうえで管理会社や賃貸オーナーに連絡しましょう。サーキュレーターや窓用エアコンを併用する エアコンの効きが悪く、すぐに修理や交換をしてもらえなさそうな場合は、サーキュレーターを併用する方法があります。サーキュレーターの風で室内の空気を循環させることで温度ムラを解消でき、冷暖房効率が上がります。また、配管工事や室外機の設置が不要な「窓用エアコン」を導入する方法も選択肢の一つです。窓用エアコンは室内機と室外機が一体となっているため、壁に穴を開けずに設置でき、賃貸住宅でも取り入れやすい家電製品です。ただし、設置時に窓枠などを傷付ける恐れがあるため、事前に管理会社や賃貸オーナーへ確認しましょう。窓によっては窓用エアコンを取り付けられないことがあるので、製品の取り付け条件も確認しておくと安心です。賃貸住宅の古いエアコンに関するよくある質問賃貸住宅の古いエアコンについて、入居者の方からよく寄せられる疑問をQ&A形式で紹介します。Q.賃貸住宅のエアコンは自分で交換できますか? 賃貸住宅に初めから備え付けられているエアコンは、入居者自身の判断で交換しないようにしましょう。管理会社や賃貸オーナーの許可を得ないエアコンの設置工事は契約違反に該当し、退去時に原状回復費用(修繕費)の負担が重くなることがあるため、注意が必要です。自費で新しいエアコンに交換したい場合も、管理会社や賃貸オーナーの許可を事前に得る必要があります。その際、退去時の原状回復を免除する旨を書面で合意しておくと安心です。なお、入居者自身が設置したエアコンを別の機種に交換する場合、新たに壁を開ける必要がなければ基本的に管理会社や賃貸オーナーの許可は必要ありません。ただし、不要な揉め事を未然に回避するためにも、管理会社や賃貸オーナーに確認してから交換するようにしましょう。Q.壊れていない古いエアコンも交換してもらえる? 冷暖房が問題なく使用できる状態であれば、「古い」という理由だけで交換してもらうのは難しいのが実情です。備え付けのエアコンが正常に使えている場合、一般的には管理会社や賃貸オーナーに交換する義務はないと考えられているためです。ただし、設置から10年以上経過している、異音や異臭がするなど不具合が起きている状況では、交換を検討してもらえる可能性があります。まずはエアコンの使用年数や症状、困っている内容を整理したうえで、管理会社や賃貸オーナーに相談してみましょう。まとめ 賃貸住宅の備え付けエアコンは、設備として設置されている場合、故障や不具合があれば管理会社や賃貸オーナーに修理・交換してもらえる可能性があります。ただし、「古い」という理由だけでは交換が難しいケースも多く、設置から10年以上経過している場合や不具合が頻発している場合には、交換の相談がしやすくなるでしょう。エアコンを無断で交換してしまうと契約違反となるおそれがあるため、まずは賃貸借契約書の内容を確認し、管理会社や賃貸オーナーへ相談することが大切です。交換までに時間がかかる場合は、サーキュレーターを併用するなどして、冷暖房効率を高める工夫も取り入れてみてください。v