賃貸住宅に防犯対策を講じる際、自分で防犯カメラを取り付けてもよいのか迷っている方もいるのではないでしょうか。防犯カメラの設置に関しては室内(専有部分)と玄関前・ベランダなどの共用部分で扱いが異なるため、慎重に検討することが大切です。本記事では、賃貸住宅に入居者が防犯カメラを設置できるケースや、設置前に確認しておきたい契約内容を解説します。【目次】賃貸住宅に防犯カメラを自分で設置してもOK?賃貸住宅でも、専有部分にあたる室内であれば防犯カメラを取り付けられます。ただし、どこにどのような方法で設置するかによって、必要な手続きや注意点は異なります。まずは、賃貸住宅で防犯カメラを自分で設置できる範囲と、事前に相談すべきケースを確認しておきましょう。室内(専有部分)なら基本的に設置OK室内用の防犯カメラであれば、入居者が自分で設置しても基本的に問題ありません。特に次のようなタイプは、賃貸住宅管理会社(以下、管理会社)や賃貸オーナーの許可を必要としないケースが一般的です。工事不要で置くだけ、貼るだけのタイプ壁や天井を傷付けないタイプ室内のみを撮影するタイプ一方で、次のような設置方法は原状回復の観点から注意が必要です。壁にネジ穴を開ける天井に固定金具を取り付ける配線を通すために穴を開ける賃貸住宅では、通常使用による損耗や経年変化を除き、入居者の責任で生じた傷や破損について、退去時に元の状態へ戻す原状回復義務があります。そのため、防犯カメラの設置に際して壁に穴を開けたり、傷が残ったりすると、退去時に原状回復費用(修繕費)の負担が生じるおそれがあります。壁や天井に手を加える場合は、作業を始める前に管理会社へ相談し、承諾を得てから設置しましょう。賃貸オーナーが直接管理している賃貸住宅では、賃貸オーナーへ相談します。原状回復の考え方についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。賃貸住宅の「原状回復」とは?ガイドラインや入居者負担の範囲、注意点を解説 玄関前・ベランダなどの共用部分は無断設置NG防犯目的であっても、入居者の判断だけでは防犯カメラを設置できない場所があります。具体的には、次のような共用部分です。玄関ドアの外側ベランダ廊下階段エントランス駐輪場ゴミ置き場これらの共用部分に防犯カメラを設置した場合、ほかの入居者が映り込みやすく、プライバシーを侵害しかねません。実際に、近隣住民の外出や帰宅の様子を継続的に撮影できる防犯カメラについて、プライバシー侵害を理由に撤去が命じられた裁判例もあります。個人情報保護法そのものは、事業者を対象にした法律です。しかし、集合住宅では特定の個人を識別できる映像を扱うこと自体が問題になりやすいため、共用部分に防犯カメラを無断で設置することは避けましょう。賃貸住宅に防犯カメラを設置したい場合は「事前相談」が大切玄関前やベランダなどの共用部分に防犯カメラを設置したいときは、管理会社への事前相談が欠かせません。賃貸オーナーが直接管理している場合は、賃貸オーナーへ相談します。相談する際は次の内容を整理して伝えると、設置の可否を判断してもらいやすくなります。設置したい理由(不審者対策や置き配の盗難対策など)撮影する範囲映像の管理方法防犯上の必要性が認められれば設置を許可してもらえる可能性がありますが、ほかの入居者のプライバシーの観点から認められないケースも少なくありません。設置の許可を得られた場合は、トラブルを避けるためにも、許可を受けた経緯や設置場所、撮影範囲などの条件を記録として残しておきましょう。口頭での確認だけでなく、書面で許可を得ておくと、あとから認識の違いが生じるのを防ぎやすくなります。無断設置による揉めごとを防ぐには、あくまでも借りている住まいであることを念頭に置き、管理会社や賃貸オーナーの承諾を得てから取り付ける姿勢が重要です。賃貸住宅に防犯カメラを自分で設置する場合の注意点賃貸住宅への防犯カメラの設置について、管理会社や賃貸オーナーから承諾を得た場合でも、自由に撮影してよいわけではありません。カメラの向きや映像の管理方法によってはほかの入居者との間に摩擦が生じる可能性もあるため、注意が必要です。ここでは、賃貸住宅に防犯カメラを設置するにあたり押さえておきたい注意点を3つ解説します。設置場所と撮影範囲に細心の注意を払う防犯カメラを設置する際は、防犯のために必要な範囲だけが映るようにカメラの向きや画角を調整することが大切です。撮影範囲を必要以上に広げると、ほかの入居者の出入りや生活状況を継続的に記録することになり、プライバシーを侵害するおそれがあります。特に、次のような場所や情報が必要以上に映らないように注意しましょう。ほかの入居者の玄関先住戸内の様子が見える場所駐車場の出入りが過度に映る位置宅配ボックスの操作内容や暗証番号設置前には、実際の映像を確認しながら撮影範囲を調整してください。なお、上記の注意事項は共用部への設置時だけでなく、居室内での設置時にも気をつけましょう。映像の管理は厳重に行う防犯カメラの映像には、ほかの入居者の姿や行動などが映る可能性があります。映像の流出や目的外の利用によってプライバシーを侵害しないよう、撮影後の管理にも注意しましょう。具体的には、次のような対策が必要です。映像を見られる人を管理会社や賃貸オーナーなどに限定する映像をSNSやインターネット上へ公開しないログインIDやパスワードは推測されにくいものに変更するパスワードは定期的に変更する録画データは1週間から1ヵ月程度を目安に消す犯罪や不審な行為と思われる映像が記録されていた場合は自分で対処しようとせず、まずは警察に相談してください。映像は捜査や被害状況の確認に役立つ可能性があるため、警察の案内にしたがって提出しましょう。原状回復を意識する防犯カメラを設置する際は退去時の原状回復を考慮し、壁や天井などを傷付けない取り付け方法を選びましょう。壁や天井への穴開け、配線を固定したことによる傷などは原状回復の対象になり、原状回復費用(修繕費)が入居者負担となる可能性があります。原状回復にともなう負担を抑えたいなら、以下のように工事不要のタイプを選びましょう。置き型マグネット式両面テープ式ドアに挟むタイプ判断に迷う場合は、防犯カメラを購入・設置する前に管理会社または賃貸オーナーへ相談することが大切です。防犯カメラ以外でおすすめのセキュリティ機器共用部分への防犯カメラの設置が認められない場合や、録画映像の管理に負担を感じる場合には、ほかの防犯グッズを活用するのは選択肢の一つです。カメラを使わないセキュリティ機器であれば、比較的手軽に導入できるだけでなく、ほかの入居者のプライバシーを侵害せずに住まいの安全性を高められます。ただし、製品によっては取り付け時に建物を傷付けたり、近隣住民の迷惑になったりする可能性があるため、事前に管理会社に確認しておくと安心です。賃貸オーナーが直接管理している場合は、賃貸オーナーへ相談しましょう。ここでは、賃貸住宅に導入しやすい、防犯カメラ以外のセキュリティ機器を紹介します。人感センサーライト人感センサーライトは、人の動きを検知すると自動で点灯する照明です。玄関付近やベランダなど、外部から侵入されやすい場所に設置すると有効です。人がセンサーに近づくと突然ライトが点灯するため、死角になりやすい暗い場所でも人目に付きやすくなり、不審者に侵入をためらわせる効果が期待できます。ただし、玄関の外側など共用部分に設置する場合は、工事不要の製品であっても必ず事前に管理会社へ相談してください。賃貸オーナーが直接管理している場合は、賃貸オーナーへ相談します。補助錠やスマートロック補助錠は、玄関や窓などの既存の鍵に加えて取り付ける簡易的な鍵です。解錠に手間と時間がかかる状態を作ることで、空き巣に犯行をためらわせる効果が期待できます。スマートロックはスマートフォンなどで施錠・解錠できる機器で、外出先から施錠状況を確認できるタイプもあります。どちらも賃貸住宅でも設置できるタイプもあるため、管理会社や賃貸オーナーに相談しながら選びましょう。センサータイプの防犯ブザーセンサータイプの防犯ブザーは窓やドアに取り付け、開閉や衝撃を検知すると警報音が鳴る防犯グッズです。留守中に窓やドアを開けられた際には大きな音で周囲へ異常を知らせるとともに、侵入者に犯行をためらわせる効果も期待できます。カメラのように周囲を撮影しないため、賃貸住宅でも取り入れやすいでしょう。賃貸住宅での防犯カメラ設置に関するよくある質問ここでは、賃貸住宅への防犯カメラの設置について、よくある質問に回答します。Q.防犯カメラで来客を撮影しても問題ない?室内に設置した防犯カメラに来客が映ること自体が、ただちに問題になるとは限りません。ただし、来客のプライバシーに配慮し、防犯に必要な範囲だけを撮影することが大切です。録画した映像を防犯以外の目的で利用したり、SNSなどに公開したりしないことも重要です。玄関の外側など共用部分まで撮りたいときは、管理会社や賃貸オーナーへ事前に相談し、設置の可否や運用に関する契約内容を確認しておきましょう。また、撮影した映像は保存期間やアクセス権限にも配慮し、適切に管理してください。Q.防犯カメラを選ぶ際に注目すべき性能は?防犯カメラを選ぶ際にまず確認したいのが、IP規格と呼ばれる防塵・防水性能です。IPに続く数字は十の位が防塵、一の位が防水性能で、数字が大きいほど耐久性が高いことを示します。屋外に防犯カメラを設置する場合は、雨風やほこりに強いIP65以上の製品を選ぶとよいでしょう。この基準を満たしていれば、長い期間にわたって安定して使い続けられます。さらに、フルHD以上の高画質に対応し、赤外線ナイトビジョンやHDR機能を備えたモデルを選べば、暗い場所でも鮮明な映像を記録できます。まとめ賃貸住宅でも、室内であれば工事不要のタイプを中心に防犯カメラを設置できます。一方、玄関の外やベランダなどの共用部分ではプライバシー保護の観点から無断設置が認められないため、管理会社や賃貸オーナーへの事前相談が必要です。防犯カメラの設置許可が下りたあとも、撮影範囲の調整や映像の管理、近隣への配慮が欠かせません。防犯カメラの設置が難しい場合でも、人感センサーライトや補助錠、防犯ブザーの活用など、賃貸住宅でも取り入れやすい防犯対策は複数あります。管理会社や賃貸オーナーと相談しながら、自分の暮らしに合った防犯対策を取り入れましょう。v