「隣室からテレワーク中の話し声や動画の音が聞こえる」「ゲーム中のボイスチャットが隣人の迷惑になっていないか心配」などの理由から、壁に防音対策をしたいと考えている方もいるでしょう。賃貸住宅では退去時の原状回復を見据えて適切な方法を選ぶことが大切です。本記事では、賃貸住宅の壁に取り入れやすい防音対策をはじめ、生活音が聞こえやすい原因、防音対策を講じる際の注意点を解説します。【目次】賃貸住宅の壁におすすめの防音対策4選壁の防音対策を考える際には、まず音の伝わり方を知っておくことが大切です。室内に届く音は、大きく次の2種類に分けられます。空気音:空気を伝わって届く音。テレビや動画の音声、音楽、話し声など固体音:物体の振動として伝わる音。足音やドアの開閉音、物を落としたときの音など一方、防音対策には音を遮る「遮音」と、音を吸収して響きを抑える「吸音」があります。上記の考え方を踏まえて、ここでは賃貸住宅の壁まわりに取り入れやすい防音対策を4つ紹介します。壁以外の防音対策も知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。賃貸住宅で防音対策をするには?原状回復できる方法や騒音を防ぐポイントを解説防音シートを貼り付ける防音シートは音を反射させて遮る働きを持つシートで、「遮音シート」と呼ばれることもあります。壁に防音シートを貼り付けると、隣室の音だけでなく、自分の部屋から漏れる音もある程度抑えることが可能です。防音効果は製品によって異なりますが、十数dBほどの軽減が見込めるとされています。賃貸住宅で使用する場合は、あとから剥がせるタイプを選ぶと壁紙へのダメージを抑えやすくなります。ただし、使用環境や貼り付け期間によっては糊残りや壁紙剥がれが起こる場合もあるため、長期間貼ったままにすることは控えましょう。なお、遮音性を高めるために、防音シートにはゴム系素材や鉛を使用した重さのある製品もあります。重量のあるシートは壁に貼るのが難しいため、軽くて扱いやすいものを選ぶとよいでしょう。吸音パネルを貼り付ける吸音パネルは、音を吸収して室内の響きを抑えるパネルです。パネル内に入り込んだ音と吸音素材との間に摩擦が生じ、音のエネルギーが弱まることで、反響音や声の響きを軽減する仕組みです。室内で音が響きにくくなることで、隣室へ伝わる音を軽減できます。賃貸住宅の壁に貼る場合は、剥がせるタイプの粘着剤を使うほか、粘着力の弱いマスキングテープを下地にして固定するのも一つの方法です。ただし、マスキングテープでも長期間貼ったままにすると糊残りが生じる可能性があるため、注意が必要です。また、落下を防ぐためにも、できるだけ軽い吸音パネルを選びましょう。壁に直接貼るのが不安な場合は、突っ張り棒を柱代わりに立て、そこへ吸音パネルを固定する方法もあります。なお、吸音パネルは単体で使うよりも、防音シートと組み合わせて二重に重ねるとより効果的です。家具を壁側に配置する音が気になる壁際に、食器棚や本棚、タンスなどの背の高い家具を配置するのも防音対策として有効です。壁と生活スペースとの間に家具を置くと音を遮る層が増え、自室や隣室の生活音が伝わりにくくなります。この方法のメリットは、家具の配置を変えるだけで試せる点です。大きな費用をかけずに始められます。特におすすめなのは、本棚です。紙には中高音域の音を吸収する性質があるため、本がぎっしり詰まった本棚を壁際に置くと、室内の音の響きや隣室からの音を軽減できる可能性があります。窓やドアの防音対策も並行する壁まわりに防音対策を講じても音が気になるときは、窓やドアの隙間から音が出入りしている可能性があります。窓やドアも音の通り道になりやすいため、同時に防音対策を講じると、生活音を軽減しやすくなります。ただし、賃貸住宅では窓やドアを勝手に交換できません。そのため、窓やドアの隙間に隙間テープを貼ったり、窓ガラスに窓用の防音シートを貼ったりする方法が有効です。壁に加えて、窓の防音対策を組み合わせると、より高い効果が期待できます。窓の防音対策については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。賃貸住宅に適した窓の防音対策!騒音の原因や注意点についても解説【賃貸住宅】壁から生活音が聞こえる原因隣室の音が壁から聞こえる場合、自室の生活音も相手に伝わっている可能性があります。自室の状況に合った適切な防音対策を講じるためにも、壁から生活音が聞こえる原因を把握しておきましょう。ここでは、賃貸住宅で生活音が聞こえやすくなるおもな原因を解説します。壁が薄い隣室の生活音が聞こえやすい場合、部屋同士を仕切る壁の厚みや構造が影響していることがあります。一般的に、音は重さや密度のある部材ほど通り抜けにくい傾向です。そのため、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造と比べると重さや密度が低い傾向にある木造の賃貸住宅は、生活音が伝わりやすい可能性があります。ただし、建物の構造だけで防音性が決まるわけではありません。同じ木造の賃貸住宅でも、壁の厚みや下地材、断熱材の有無などによって音の聞こえ方は変わります。壁内部の防音材が不足しているグラスウール(断熱材)などは、壁内に充填することで音の反響や伝わりを抑える吸音材としての役割も期待できる素材です。そのため、壁の内部にグラスウールなどの断熱材が十分に入っていないと、隣室の音が伝わりやすくなることがあります。この問題は、木造だけでなく、防音性が高いといわれる鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の賃貸住宅でも起こり得るものです。もし壁を軽く叩いて軽い音がした場合は、壁が薄かったり、断熱材が十分に入っていなかったりする可能性があります。隙間から音が入り込んでいる生活音は壁そのものだけでなく、窓やドア、換気口、コンセントまわりなどにできたわずかな隙間からも入り込むことがあります。特に窓やドアのまわりは隙間が生じやすく、隣室や屋外からの音が聞こえる原因になりやすい箇所です。賃貸住宅の壁に防音対策を講じるときの注意点壁まわりの防音対策を進める際は、賃貸住宅ならではの注意点があります。防音対策を講じる前に、次の2点を確認しておきましょう。原状回復について確認する賃貸住宅を退去する際には、経年劣化や通常使用による損耗箇所を除き、部屋を借りた当時の状態へ戻す「原状回復」の義務があります。そのため、既存の窓の内側に新たな窓を設置するなどの大がかりなリフォームは原則できません。壁に穴を開けたり、強力な接着剤や剥がせないテープで防音材を固定したりする方法も避けましょう。賃貸住宅で防音対策を講じる場合は、原状回復しやすい方法を選ぶことが大切です。賃貸住宅管理会社や賃貸オーナーに相談する賃貸住宅によっては、「壁へのパネル貼り付け禁止」「釘・ネジの使用禁止」などの契約内容が定められている場合があります。防音対策を始める前には契約内容を確認し、契約書に記載がない場合や判断に迷う場合は、賃貸住宅管理会社や賃貸オーナーに相談しておくと安心です。賃貸住宅の壁の防音に関するよくある質問ここでは、賃貸住宅の壁の防音対策に関してよく寄せられる質問にお答えします。壁の防音対策にかかる費用はどれくらい?壁の防音対策にかかる費用は防音材の種類や設置する範囲によって大きく変わるため、一概にいえません。例えば、防音シートや吸音パネルを数枚貼る程度であれば、数千円ほどで収まる場合もあります。一方で、壁の広い範囲をカバーしたり、複数の防音材を組み合わせたりする場合は数万円以上かかることもあります。壁にダンボールを貼るだけでも防音になる?ダンボールには多少の吸音効果があるものの、音を跳ね返す遮音の働きはほとんどないため、防音材としての効果は期待できません。また、ダンボールは湿気に弱く、長期間壁に貼ったままにするとカビが発生するおそれもあります。手軽に試せる防音対策ではありますが、生活音の悩みを解消したいなら、専用の防音シートや吸音パネルを使うほうが確実です。まとめ賃貸住宅の壁まわりを防音したいときは、まず家具の配置換えなど費用をかけずにできる方法から試してみるのがおすすめです。それでも音が気になる場合は、防音シートや吸音パネルなど、賃貸住宅でも取り入れやすいアイテムを検討してみましょう。賃貸住宅では本格的な防音工事を自己判断で行えないため、騒音に悩んでいるなら、自分だけで何とかしようとせず管理会社に相談してみてください。賃貸オーナーが直接管理している場合は、賃貸オーナーへ連絡しましょう。集合住宅では、隣室から聞こえる音が気になる一方で、自分が出している生活音が周囲へ届いている可能性もあります。音の問題は互いに配慮が必要だからこそ、できる範囲から少しずつ対策を重ねていくことが、心地良い暮らしにつながるポイントです。v